>>38-39  仕事の中でも、「質よりも量」の仕事。 
 とにかく大量生産、高収益であることばかりに特化した仕事。   
 工業が工芸と異なる所以もそこにあるし、 
 結局、工業という業態が職人の保護なぞよりも商売になびいてしまう理由もそこにある。   
 「士農工商」とは逆の序列となる「商工業」、 
 資本主義社会にとってのほとんど全てであるこの商工業が、 
 そのまま人々の実用主義(プラグマティズム)を助長する元凶となっている。   
 実用主義だけでなく、同時に人々の動的没頭、多動(多働)への惑溺をも助長する。 
 大量労働をけしかけるだけではさすがに苦しくて労働者が付いてこないから、 
 スポーツやドライブやテレビ映画やセックスなどの、動的没頭を伴う遊興も共に促す。   
 産業革命による近代の過重労働発症の地であるイギリスも、 
 その精神を忠実に受け継いでいるアメリカやドイツや近代の日本も、 
 みんなこれらの文化に淫している筆頭格である。   
 プラグマティズムからの民度の低下は、 
 それなりに現実的な実情が多重に折り重って生ずるものだから、 
 「これさえしときゃいい」なんて風には言えない。   
 宝物的価値への見識教育、「商>工業」という序列の訂正、動的没頭偏重の潮流の廃絶、 
 その他いくらでも手立ては思いつくが、一つと言わず全部試みなければならない。 
 一つ覚えの多頭怪獣の首を、一つ残らず切り落として生き返らせぬように。
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