
元来、篤い仏教信仰や武家崇拝によって、 
 男が安直な色気で売り出す選択肢などは一部の水商売だけに 
 追い込まれて来たこの日本社会で、近代以降に突如、 
 西洋並みに全体規模な色男崇拝が持ち上げられたものだから、 
 日本の男もなんとも言えないダサさを総員で帯びるようになってしまった。   
 戦前までは、軍人が武家文化に倣おうとしていたのがまだ 
 牽制材料になっていたが、戦後は軍備放棄によってその箍も外れ、 
 古来の日本では最も忌み蔑まれて来た部類の色男こそが、 
 アイドル的な賛美と共に、芸能界か一般社会かを問わず持て囃されるようになった。   
 当然ながら、そういう色気第一の男に、おっさんとしての栄華などはない。 
 人生の春を若い内に先食いすることにかけて女並みであったような男などは、 
 年食えば大丈夫としての魅力を保てるようなこともほとんどなく、 
 共に人生の下り坂を転げ落ちる妻の尻に敷かれるのが関の山となる。   
 現代ともなれば、別に色男を自負しているわけでもないような男だろうとも、 
 男にまで色気ばかりが要求される風潮に圧されて、中年になった途端に 
 人生の潮時を感じさせられるような勘違いに陥りがちである。   
 その誤解を振りほどけない限りにおいては、本当に本領の発揮を損ねられたまま、 
 人生の最盛期を不完全燃焼のまま終わらせるようなことになってしまう。 
 これは若いうちを含む全人生が恵まれなかった人種になってしまうわけだから、 
 イケメンでもないような男が人類の最底辺扱いになってしまうわけである、
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