
円ドル相場がプラザ同意以降も、どんどん円高基調に振れて、例えばトヨタ自動車などは 
 「円が1円高くなると数百億円の減益になる」のような事が言われ続けてきた。 
 そこで日本企業は「円高耐性」なるものを身に着け、有体に言えば「円が高くなっても収益を得られる」 
 企業体質に変えていったんだな。   
 で、円高に限らない話 
 売り上げの総額が増えない状態でも利益を確保できる体質に変えていったんだよ。日本企業は。 
 売上げ総額はバブルの最盛期と同水準だが、経常利益は3倍近くになってる(図表1)   
 当期純利益も3倍になり、社内留保は3倍以上、株主への配当は4倍以上になってる(図表2)   
 で、設備投資やM&Aにも回すことなく利益の余剰として内部留保された貯金は3倍以上に(図表3)   
 (図表2)の98年や01年のように純利益がゼロというような事態を経験して(図表の通り内部留保はマイナス) 
 例えば従業員に関しては「お前ら、悪いが利益が出ないから安い給料のままで働いてくれ」などの施策で 
 利益を確保しようと、つまりは利益を確保できる体質に変えていったんだよ。 
 ま、そこまでは仕方がない。従業員にとっても雇用の確保が重要だったし。   
 ところが、上述の通り利益(営業利益、純利益ともに)は3倍以上になった今でも労働分配に回さずに 
 せっせと貯金ばかりしていて、遂に貯金額は図表3の通りバブル最盛期の3倍以上にもなってしまった。 
 労働分配率の話だけをしたが、これは設備投資や下請け企業など一事が万事同じで、とにかくお金を 
 使わずに、ひたすら貯金、貯金、貯金・・   
 冒頭に書いたように、利益を確保できる体質に変えていく過程で、労働分配率の抑制は 
 一つの手段だった。もちろん、それだけではなく日本企業は様々な努力をしてきたんだよ。 
 その中の一つが労働分配率の抑制だったり、外注経費の抑制だったわけ。   
 だが、この時点(営業利益、純利益ともに3倍以上になった今)でも労働分配率を上げることなく 
 いつ来るか分からない恐慌に備えて、怯えて、貯金ばかりしているわけ。
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