取引先の従業員総数500人程度の中小企業 
 いわゆる下請けなので偶に工場で打ち合わせがあり 
 工場事務所の事務員と顔なじみ程度の面識がある。   
 とある日、事務員のおばちゃんが涙を流しながら同僚に向かって 
 必死に訴えている。   
 内容: 
 10数年前に旦那を病気で亡くした。 
 その後は、女手一つで息子を育て上げ大学まで出した。 
 (高校は上の下、大学は中の上、就職先は、及第点な会社)   
 そんな息子に見合いの話が来たそうだが、相手が高卒だった。 
 人は肩書ではない、そんな事は解っているが、お父さんを亡くして 
 必死に育てた息子が、それなりの道を歩んでくれた。 
 それを考えると(高卒の子を)宛がわれたことが悔しくて悔しくて 
 繰り返すが、人は肩書ではないことは理解しているが 
 女手一つで息子を必死に育てたことを思い返すと、いくらなんでも 
 いくらなんでも、それはないだろ?と悔しくて。と号泣していた。   
 驚いたことに周りの事務員すべてが(社交辞令かもしれないが)同情していた。 
 やっぱり人には釣り合いというものがある、その話を持って来た人は 
 常識に欠けた人に違いないから気にしない方が良い。 
 無論、事務員のおばちゃんも、当事者の息子もお見合いをする意思はない由 
 だが、持ってこられた縁談が相当悔しかった由。   
 バカな奴、つまらん 
 という人もいるかも知れないが、これが現実社会の一端。 
 現実に抗うのも良し、現実社会の価値観の中で生きるのも良し。 
 大学に行くというのは、そういう一面もある。
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