●ホットリーディングもコールドリーディングも封じられるとどうなるか。
菊池聡著『超常現象の心理学—人はなぜオカルトにひかれるのか (平凡社新書)』(1999年刊)では、心理学者の菊池聡氏がワイドショー番組の
「最終決着、霊視は可能か! 霊能者vs心理学者」というコーナーで霊能者のK氏と対決した様子が記載されている。
対決ではゲストの三瀬氏が予め人間ドックで詳しい診断を受け、その診断書をふまえて作られた20問の○×問題の正答率を調べるという形で行われた。
○×で答えさせるのは、マルチプルアウトな回答を阻止することと、ショットガンニングにより後から回答を修正させない目的がある。
ここでは対決の席で初めて霊能者K氏に問題が示されたので、彼にホットリーディングを行う機会は無かった。
さらに、ここではもう一人のゲストである妹尾氏に対照実験としてカンで回答をしてもらっている。このあたりさすが菊池氏、抜かりが無い。
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「よろしいですか」と司会者。うなずくK氏。
「では第一問、三瀬氏は近視である」
即座にK氏は、「いえ、近視の気はありません。ですが左は白内障の傾向があるようで…」と同意をもとめるように話しかけた。
そこで私はストップをかけた。
「だめです。あくまでも○か×かどちらかで答えてください。三瀬さんも応じないで。会話なしでお願いします」
ホットリーディングを封じられた詐欺師は、コールドリーディングの活用に走る。
白内障の、その傾向なんて、あるとも無いとも言えるマルチプルアウトな表現だ。
同意を求めるように話しかけ、会話からより多くの情報を引き出そうとするのも、コールドリーディングの典型的な手段だ。
ところがそれを菊池氏に封じられると、あわれ詐欺師はとたんに手も足も出なくなる。
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