アレッポはシリアの中でも特にトルコ寄りで、
スーク(商店街)でもトルコアイスやターキッシュコーヒーが
よく売られている、比較的トルコ色の強い街だった。
ただ、シリア人というのは9割9分黒髪で若干肌の色が薄い、
マリオやルイージ的な容姿の人間ばかりで、
肌が白かったり赤毛だったりするトルコ人や、
オバマみたいな黒人の血を引いた容姿の多いヨルダン人とも
一応、見慣れれば見分けはつく。隣国とは明らかに別種の血族であり、
アレッポでもやはり人種的にはシリア系が大多数を占めていた。
アレッポからだいぶ南に下った、シリア中央部あたりの
砂漠のど真ん中で、並みのイスラム教徒も一目置くという
ベドウィン(遊牧民)にも面会したが、人種的には普通のシリア人だった。
白人でも黒人でもない、古来の中東人の典型がシリア人だということ。
日本でいえば浮浪者も同然の生活環境で、
振舞われた水も汚いためガイドに止められて飲まなかったが、
それでいて妻が二人、片方の妻はまだ幼い子供を抱いていた。
そこに、ムスリムの理想像としてのベドウィンならではの、
「武士は食わねど高楊枝」的な矜持を、今思えば見受けられたものである。
もう10年以上前のことで、もう一度行くことも未だ叶わないがな。
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