
どうせ感染しても重症化しないからと、平気で外で遊び回っている若者に対して、 
 「若くても死ぬことがあるんだぞ」などと、スズメの涙ほどの死亡例を挙げて訴える。   
 そこで「か弱い年寄りにもう少し配慮してくれ」と、身の程をわきまえた懇願をすれば、 
 若者も同情心を抱いてより活動を自粛し始めるだろうに、あくまで体力面でも自分たちが 
 若者と同等であるかのような強がりを決め込むものだから、そんな配慮をされることもない。   
 男女関係についても、同様なことがいくらでもあるのである。 
 自分たちがあくまで男と精神力で同等か、それ以上だなどと強がるものだから、 
 男のほうも「じゃあこんなことでも大丈夫だろう」と、自分自身がなんとも思わない程度の 
 高ストレスな待遇を供してくる。強がり故の自業自得なのに、自分でも本当に男並みの 
 精神力があるなどと思い込んでいるものだから、過剰にガサツな相手だと腹を立てる。   
 若い頃のようには体への無理が効かなくなった団塊のジジイが、若者並みの活動を 
 続けようとしてうまくいかず、周囲に当たり散らしたりするのと全く同様な蒙昧。   
 コンビニでレジ奥のタバコの番号が見えなくなったのも自分の老眼のせいなのに、 
 銘柄で注文してもどれだか分からない店員を怒鳴りつけるがごとき暴挙。 
 そもそももうタバコなんかやめるべき年だろうに、これまた冷水で受け入れない。 
 人一倍ボロボロになった肺で、そのまま潔く志村けんの後を追うというのなら 
 文句のつけようもないが、志村ほどの人気者でもないからそこまでの達観もできずーー   
 身の程知らずゆえに周囲から理解されず、自分自身もまた己れをいたずらに 
 苦しめる負のスパイラルが、身の程をわきまえない限りにおいては死ぬまで続く。   
 さような晩年こそは、人間にとってもっとも陰惨なものともなるのだが、 
 これまた強がりで「我が人生に一片の悔いなし」などとうそぶくのであろうかな。
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