ハンコは毎度毎度署名(サイン)する面倒を簡略化したものだから、欧米の署名文化より優秀と言える。
しかしながら、ハンコそのものを奪われたら容易に正式文書が偽装可能という脆弱性がある。
また、今回のコロナ騒動で明らかになったように、「物理的接触が必要」という弱点がある。
もちろんこれまで、物理的接触が必要と言う事は弱点とは思われていなかった。
ハンコをつかう当人が、ハンコが証明する人と違う場合は、そこでストップをかけられるからだ。
パスワードはこの脆弱性がクリアできない。
ネットの向こう側にいる人が正しいパスワード(ハンコ)でログインした場合、その当人が当人かどうかはネットのこちら側では判断できない。
そういう意味では、物理的に相手とハンコを確認できる対面式の捺印に比べ、ネットの本人確認の方が脆弱と言える。
それに対して網膜、静脈、指紋、顔認証など様々な認証方法が実用化しているが、まだ一般化しているとは言い難い。
恐らく、「ハンコ不要」になると、「ハンコを押さなければならいからこそ出来なかった犯罪」(つまり対面で契約書を交わすような契約に対する詐欺行為など)が増える。
それも爆発的に。
ハンコ文化が強い高齢者に対して、「最近はコロナの影響で、ハンコが要らないんですよ」というような文句を武器に、高齢者の財産を奪いにかかる。
これはおそらく間違いない。
ハンコは難点もいろいろあるが、対面しなければならないという点で犯罪防止の役に立っていた。
何故なら、犯罪行為を行う人間は極力顔を晒したくないからだ。
今回の件でハンコが不要の文化になったら、そういった犯罪者は活気づく。
それに対する対策は、国単位で必要になる。
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