これは強烈だったなあ……
夢の中は実家の庭先。昼間らしく、雲ひとつない晴天の青空が広がっている。
おやじやオカンも庭で雑用しつつ、おれと他愛もない会話をしていた。平和なひととき。
そのとき頭上で、キーン!と鋭い大音響が響いた。
おれは青空を見上げた。
その中空で白い球形の爆発が起きた。爆発だとわかった。
その光景を目の当たりにしたおれたちは、それが何を意味するか、瞬時に悟った。
原爆だ。……ムダだとわかりつつも、お互い声をかけるまでもなく、3人はとっさに自宅に逃げ込んだ。
居間に入る。居間の壁の二面はガラス張りで、外の風景が見て取れる。
おれたちは爆発のあった、南の方角を絶望的な面持ちで眺めた。
衝撃波が来るのがわかった。手前の山の木々を吹き散らしながら凄まじいエネルギーの奔流がやってくる。
そして次に見た光景が地獄だった。
あたり一面、燃え盛る炎。ガラス窓の向こうは紅蓮の炎で手がつけられない状態になっていた。
もうおしまいだ……観念した親子。こんなときこそ、オカンは肝が据わるものだ。
どこから取り出したか、出刃包丁で、まずおやじの首を切りつけた。
炎に巻かれて死ぬよりか、先に引導を渡して楽にしてやろうというのだ。
おやじが床に倒れるのが見えた。
オカンは次におれの方を振り向いた。「……タンマ!」を言う隙も見せず、オカンはおれの首を切りつけた。
頚動脈からあふれ出た血液が勢いよく迸り、天井まで届くのが見えた。(このとき、生暖かい血の感触がリアルだった)
おれは床にうつ伏せに倒れた。
薄れゆく意識の中で最後に見た光景は、オカンがガラス窓の方を向き、仁王立ちした後ろ姿だった。
オバサン・パーマをかけた髪に引火し、チリチリと炎をあげているのが見えた。窓の向こうも紅蓮の炎。
おれの意識はそこで途切れた。
……そこで夢から覚めた。奇しくも終戦記念日間近に見た夢。
ちなみにおれは広島・長崎の住人ではないし、縁もゆかりもない。
あとで知ったことだが、原爆って、エノラ・ゲイ号から落とされ、地面に着弾してから爆発したわけじゃないそうで。
(着弾と同時に爆発では、遮蔽物に邪魔され、殺傷力が軽減するらしい。
よって、夢の中の出来事のように、中空で爆発させる方が広範囲にエネルギーを撒き散らすことができる)
ご多分に漏れず、こんな生々しい夢をみたあとは、ひどく疲れている……
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