■老化とうつ病の関係
私達の神経系は年と共に衰えます。
私達は人生の多くの場面でストレスをうけ、苦しみます。これは私達の神経系を傷つけていきます。
その結果、うつ状態になり、衝動的な振舞いをし、悩みも増し、ストレスに対し過度に反応し、自殺する場合もあります。
自殺が年齢と共に増えているのはこのよい証拠でしょう。
このような時にセロトニン神経系が正常に維持されていれば精神が安定し、その結果うつ状態などを防ぎます。
例えば、日頃元気がよく、社会的にも高い評価をうけている中年の男性が突然自殺してしまうことがあります。
これは「晩発性うつ病」ともよばれています。
この人達は、不安になり、陰気な気分に襲われ、自己を痛めつけ、自殺傾向を強くいだいています。
しかし、これらの人々は、若い時からのうつ病の人々に比べ人格もしっかりしており、人間関係も悪くなく、家族にもうつ病の人はありません。
また、最近特に強いストレスを受けたり、ショックを受けたりしたこともあるようにも思えません。
このような人が、急にうつ状態になり自殺してしまうのです。周囲の人はあれこれ理由を考えますが、本当のところは思いあたりません。
もちろん、人生は苦しみに満ち、生活には多くの難題がつきつけられます。
しかし、これらの人々の場合、このようなストレスが特に多いとも思えないのです。
家族は呆然とし、嘆き悲しみます。
そして、あれこれ理由を考え、この人の直面した問題には外から思うよりもっと深い所に思ってもみない困難が隠されていて、
それが本人を極度に苦しめていたのだろうと推察します。
私達の神経系は絶え間なくストレスを受け、これが老化と共に神経系の異常としてあらわれます。たとえばノルアドレナリン系です。
しかし、セロトニン系の活性が高く維持されている間は、本人の精神状態は安定しています。
それどころか、このような人々は、社会的にも高い地位を得、人から尊敬されているケースが多いのです。
しかし、セロトニン系も年と共に劣化します。
セロトニン系はストレスホルモンにより影響を受けます。
ストレスホルモンの一つであるコルチソルはセロトニンの受容体(=5HT1A受容体。これが多いとうつ病にならない)の量を滅らします。
そして、セ口ト二ン系の活動がある程度以下になると、他の神経系の異常による症状の発現を抑えられなくなるのです。
日本でも、若い時から苦難の人生を歩み、尊敬される老年時代を送っている人が突然自殺したりします。
一方、欧米では、ナチの強制収容所を生き延び、その後、杜会的・政治的に活動して人々に勇気を与えてきたような人が自殺してしまい、
世間を驚かせ、困惑させることがあるのです。
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