「初代の県庁は、今の西武福井店(福井市中央一丁目)の近くにあり、
それが一九二三(大正十二)年に現在地に移ったんです」。
城跡の土地は、最初は福井藩を治めていた松平家から借り、その後、
五一年に土地交換で県の所有になったという。
福井城は一八七一年の廃藩置県で廃城となり、政府の所有となったが、
その後に再び松平家に戻るという経緯をたどっていた。県庁が建つ前は、
松平家の試験農場があったそうだ。
郷土史に詳しい県文書館嘱託の吉田健さん(65)は、「松平家は
『現状を壊さない』との条件付きで、格安で国から福井城跡の払い戻しを
受けた。しかし城跡の維持費は負担になっていたはずです」と推測する。
県としても、西武福井店付近に県庁舎を置いたままでは、県都中心部の
商業地開発が阻害されるという悩みがあった。両者の思惑が一致して、
約五百メートル先への引っ越しが決まったという訳だ。
ところで、城跡に県庁舎が建っているのって、珍しいんだろうか。
他の四十六都道府県に電話で聞いてみる。
その結果、県庁舎が「城跡にある」と答えたのは福島、群馬、山梨、静岡、
島根、高知に福井を加えた七県。このうち、本丸跡に庁舎を構えているのは、
福井と群馬の二県だけだった。
『日刊県民福井』平成24年年2月26日
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