>>480>>481>>482>>483 383 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2008/06/16(月) 21:15:16 ID:???
昭和の海軍はタコスケ論?
海軍が存立する目的は、「制海の獲得」にある。
この制海という目的を達成するためには、敵艦隊の撃破をはじめとし、封鎖
補給路の遮断等々多くの手段がある。
ところが日本海軍は、先の日本海海戦であまりにも鮮やかなパーフェクト勝
ちを収め、それが日露戦争終結の最大の要因となったため、手段の一つにすぎ
ない敵艦隊の撃破である艦隊決戦を究極の目的と取り違えてしまったのである。
それ以来、日本海軍の兵術思想は、今や仮想敵国となったアメリカの太平洋艦隊
を、中部太平洋マリアナ諸島付近で迎え討つ大艦巨砲による邀撃作戦すなわち
艦隊決戦であった。この作戦では、連合艦隊指令長官の坐上する旗艦に続く各艦
隊、各戦隊は、長官の命ずるがままの艦隊運動を行い、ひたすら夜間魚雷攻撃、
大口径の主砲による砲撃戦を行う。
ごく短絡的にいえば、このように手段を目的と取り違え、艦隊決戦至上主義に取
りつかれた日本海軍には、もはや戦略も戦術も必要なかったのである。
そこにあるものは、術科といって砲戦運動や魚雷攻撃の襲撃運動等のいわゆる
艦隊運動をいかにうまくやるか、どうすれば大砲、魚雷の命中率を向上させられ
るかなど戦闘技術の向上のみであった。しかも、短期決戦思想なので、ロジステ
ィクスという観念が皆無である。
これでは実用主義に徹し、強大な武力のもと、情勢に応じた千差万別、複雑多岐
にわたる戦略、戦術、戦法を取り入れるアメリカ海軍にまったく太刀打ちできな
かったのは、当然の帰結であったといえよう。
是本信義著 図解クラウゼヴィッツ「戦争論」入門
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