実は近々、どうしても武道鍛錬のための必要性があって大刀の真剣を買う予定なんだが、
いざ買うという段階になって初めて、自分にはまださして刀剣趣味がないことを自覚している。
刀身はともかく、刀装具とまでいくとさっぱり食指が動かない。
斬る練習のために使うのだから今のところ最低限のものでもいいわけだが、
こんなものにまで渾身を込めた趣向を凝らしていた昔のお武家さんたちの気持ちが
未だに理解できないのには、いささかなりとも負い目を抱かされるところがある。
車に船に航空機に巨大建造物と、刀剣なんかより遥かに重厚長大でいて、
なおかつ億兆の予算をつぎ込んで作り込める選択肢がある時代に、
指でつまめるような小物にばかり魅力を見出すのはなかなか難しいこと。
しかも、高級時計やアクセサリーほどにも実用性すらないと来ている。
結局、江戸時代なみに物資や工業文明が制限された社会に住むのでないと、
刀装具なみにニッチな手工芸品の真価を計り知ることはできないのかもしれない。
刀装具マニアなんていう人種もいることはいるが、今自分がそれになったところで
変人の集まりの中の一人程度の扱いに処されることもまた避けられないわけだし。
返信する